機械などを設計する過程では、アイデアを机上で形にした後、それを試作品として実体化する事になる。
しかし従来は、試作品をつくった後、数々の検証(本当にこの形でいけるかどうか、壊れないかとか他の部品にぶつからないかとか)を行う中で、こりゃダメだとなったら、もう一度試作品をつくり直さなければいけなかった。
そこには多くの時間やお金を費やす必要があった。
そのためその不便さを解決しようという事になり、現れたのがコンピュータ上で強度解析を行えるソフトである。
アイデアをコンピュータ上で形にした(モデリングした)後、試作品をつくらずとも同じくコンピュータ上で解析を行える。
主な検査項目として挙げられるのは応力、振動、熱伝導だと聞く。
つまりモデリングで形になった部品に対し、どの方向のどの大きさの力がかかるのか、機械が動く事でその部品にどのような振動が加わるのか、そして他の部品との熱のやり取りによりどれくらい温度変化があるのか、などを見る。
そしてそれらの負荷に対して部品は壊れずに耐えられるのか。
それを考えていくのが強度解析だ。これをコンピュータ上で行えるのが便利だ。
ではどのような流れで強度解析は進められていくのか。
全体の流れを3つに分けると、計算前準備、計算実行、計算後判定、である。
1つ目の計算前準備。
まずモデリングで部品の形が作られたら、そこにマテリアルを設定する。
どんな材料(鉄かアルミか等)を用いるか決めて、ヤング率、ポアソン比、降伏点などその材料の強度を表す値を入力していく。
その設定が終わったら今度は作った部品を細かな要素に分割する。
大きな塊である部品全体をメッシュという細かな要素の集合体として表す。
同じ一塊の部品でもその部分ごとにかかる力などは異なるため、細かな要素として分けて視覚化する考え方を取り入れている。
材料決め、メッシュ作成の後は、拘束条件と荷重条件の設定である。
部品のどの部分が動かないか(床に置かれている、壁に片側が取り付けられている等)正確に捉えてその部分を拘束する。
そして次にどこにどの方向のどの大きさの力が加わるのか、荷重を設定する。
ここまでで計算前の準備が終わりだ。
2つ目が計算実行。
以上のように材料が決まり、細かく分割され、拘束と荷重が決まった部品。
計算を行うのに必要な情報としてそれらを先ほど入力した。
そのためこの段階で入力した情報を用いて、計算を実行する。
3つ目が計算後判定。
計算を実行した結果、応力分布(部品各部にどれくらい力がかかるか)や変位分布(部品各部が元の位置からどれほど移動したか)などが分かる。
それらを視覚化して表示する事が出来る。
そこから取得したデータを元に、この部品を実現したら安全か危険かを判定する。
もし危険だからダメだとなれば解析し直しである。
(ただ先ほども申したように、試作品をつくるより前の段階なので、コンピュータ上で時間もお金も大してかけずに何度も解析が行えるという便利さがある。)
以上の流れで強度解析を行う。
設計で形になったモデルが、実際に有形の商品となり販売されるまで。
それらの間を繋ぐ、重要な仕事である。
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