夜中に車を走らせていると、うつむいた女の子が道端にポツンと立っていた。
長い髪で、黒い服を身にまとい、赤い靴を履いている。
こんな時間にどうしたんだろ、怖いなぁと思いながらも、声をかけた。
「何をしてるの?こんな時間に」
すると女の子は顔を上げて答えた。
『ママがいないからおうちに帰れないの』
きっと迷子だな、可哀想にと思った私は、車に乗せてあげる事にした。
助手席に乗せると女の子は笑顔で言った。
『ありがとう、優しいね』
私は気になって聞いてみた。
「ママとはどこではぐれたの?」
『ママと一緒にお買い物に行った帰りだよ』
「そうなんだ。じゃあとりあえずお買い物した店の近くにいってみよう」
私は女の子に色々質問し、何とかその店を特定し、車を向かわせた。
「着いたよ。とりあえず車をとめて、近くの交番に行こう」
私は裏にある駐車場に車をとめに行く。
するとそこに、何やら人影を感じた。
駐車場の奥の方で誰かが横たわっている。
「誰かいる!ちょっと見てくるね」
私は車を降りて近づく。
そこには...女性が血だらけで倒れていた。
「きゃああああああ!!!」
私は思わず叫んだ。
すると後ろから足音が近づいてくる。
『だから言ったじゃん。ママがいないから帰れないって』
女の子が笑顔で近づいてくる。
『お姉ちゃん、私の新しいママになって。』
私はこの子の靴が赤かった理由がようやく分かった。
。
完
コメント